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ドクターコラム

バネを使うとどうなるの?~Step3ウラ話~

Step3では、下の前歯のところに、“バネ(オープンコイル)”が付きました。前回のStep2で、下のブラケットが付き、奥歯がしっかりと整直(up-right)し、抜歯でできたスペースをいよいよ閉じていきます。今回のコラムでは、Step3でどんなことが起きるのか、バネを使うとどんな変化が起きてくるのか、Step3の裏側を詳しくご説明したいと思います。

見た目が気になる!?必須なバネ
Step3の大きな特徴は下の前歯の部分についた、バネ。前歯の部分にあることから、見た目が気になる患者さんもおられるかもしれません。
なるべく早く外せると良いのですが、抜いた小臼歯の部分のスペースがある程度なくなるまでは使う必要があるため、通常最低でも半年はお世話になる装置です。
このStep3では、抜歯したスペースをバネの力で閉鎖していきます。犬歯から犬歯(前歯の部分)の距離の1.5倍の長さのコイルをギューっと縮めてセットすると、そのバネが元に戻ろうとする力(復元力)が起き、バネの両サイドにある犬歯へ伝わります。その力によって、犬歯が少しずつ後ろへ動いていき、抜歯スペースが徐々になくなっていくという訳です。この時、スムーズに動くためには、ワイヤーがまっすぐになっていることが重要。Step2で顎間ゴムをがんばってもらい、しっかりスピー湾曲が取れていると、犬歯がワイヤーのたわみの影響を受けず、倒れこむことなく順調に動いていくのです。

上はほったらかし?下を動かすだけで大丈夫?
Step3の間の調整は、少し地味です。来院毎に、抜いたスペースの距離を目視で確認したのち、下のワイヤーを外し、コイルの長さ(力)が足らなくなっているようであれば新しいコイルに変え、グッと結び付けることでまた犬歯が動いてくるのを待ちます。スペースがある程度なくなるまで、この作業を毎回繰り返していきます。上は、ほったらかしでいいのですか?という声も聞こえて来そうですが、矯正治療では、原則、下の歯列(前歯)の位置が決まってから、上の前歯を下げていく手順ですので、しばらくは下の歯列を動かしていくステップが続きます。サボっているわけでも、後回しになっているわけでもありません。何もしていないようですが、現在は上の歯列は動かさない時期なのです。

歯が動く量は1か月に1㎜以下!?
さて話は変わりますが、通常1か月に一度の調整で最大どのくらい歯を動かしていくことが可能なのでしょうか。
歯は、“歯根”という歯の根が、“歯槽骨”という骨に支えられています。お口の中に見えている、いわゆる“歯”は、“歯冠”と呼ばれる頭の部分だけです。矯正治療で歯が動く、ということは、当然その歯根も、骨の中を移動する必要があります。この話をすると長くなってしまうので割愛しますが、、簡単に言うと、歯根は、周りの歯槽骨の骨を溶かして、再生して、溶かして、再生して、というサイクル=“リモデリング”を繰り返しながら、骨の中を動いていきます。タイトルにある、歯が動く量は1㎜以下?というのは、このお話に関係があります。この歯槽骨を「溶かして・再生して」というサイクル、ちゃんと「再生して」というステップが行われなければなりません。そのため、矯正治療は1か月に一度の来院になっています。
来院してワイヤーの調整をされると、痛みが出て歯が動かされている、という感覚になると思います。ところがこの痛み、数日経つと落ち着きます。ここから次の来院までの3週ほどは、骨の回復期です。ちゃんと再生されるステップを経て、また次に調整し、力をかけていく、を繰り返します。
この一度の調整で動かすことが可能な量、それが最大1㎜くらいまで、と言われています。例えば、来院間隔を取らずに、「力をかける」を短いスパンで繰り返すと、歯槽骨を「溶かして、溶かして、」という骨を溶かす方ばかりが亢進してしまいます。そのため、来院間隔は1か月空け、1か月あたり最大でも1㎜程度にとどめ、骨の回復も意識しながらスペースを閉鎖していきます。

小臼歯のサイズは平均7~8㎜。=Step3の長さ!?
Step3の期間は通常6~8か月くらいと言われていますが、それは、実は小臼歯のサイズを考えてみるとそのようになります。
1か月に動く量が最大でも1㎜と考えると、小臼歯の大きさが約7~8㎜程度ですので、抜いたスペースがある程度閉じてくるにはそのくらいの期間が必要になる、ということなのです。事前に予想されるStep3の期間とだいたい一致しています。

自然治癒力?!ブラケットを付けていなくても動く前歯
じゃまな前歯のバネですが、犬歯が後ろに下がること、以外のバネによる効果を、ここでお見せしましょう。


上の写真をご覧ください。
写真は、Step3開始時(上段)とStep3終了時(下段)の比較です。
終了時の写真では犬歯が後退し、抜歯したスペースがほとんどなくなったことに加え、ブラケットの付いていない下の前歯が、ガタつきがほぐれ、勝手に並んで来ていることに気が付かれることと思います。Step3は下の犬歯を後ろに下げていくステップですが、犬歯が下がると歯周靱帯でつながっている前歯部にも下がる力が加わり、前歯の部分に隙間ができるとともに自然と自らの力で並んでいくのです。次に続くStep4に向けて着々と進んでいっていることがこの写真からもわかります。

まとめ
•見た目が気になる下の前歯のバネ。犬歯が動き、スペースがある程度閉じ終わるまでしばらくの辛抱
•上はほったらかしに見えるが、今は動かさない期間(下を積極的に動かす期間)
•動かす量は1か月に最大1㎜。歯が動くとき、骨を“溶かす”→“再生”のその骨の回復も大切
•小臼歯のサイズ約7~8㎜。その幅と同じくらいの月数がStep3はかかる
•バネで犬歯を下げると、勝手に前歯が並ぶ!Step4に向けて少しずつ進んでいっている

Step3についてなんとなくご理解いただましたでしょうか? 今回も、長くお付き合いくださりありがとうございました。
次回また、Step4のコラムでお会いしましょう!

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