お子さんの矯正相談について

4月から、当院の矯正相談で変更点がひとつ。

それは、お子さんの矯正相談の際に、パノラマX線写真を撮影させていただくことになりました。

パノラマX線写真とは、上下のあごの骨全体を写したレントゲン写真のこと↓↓

あごの関節の形、お口の中に見えている歯のほかにも、骨の中に埋まっていてこれから生える予定の永久歯の位置や数、またむし歯があれば進行具合を把握できる、お口の中の情報がたくさん詰まったレントゲン写真です。

今まで、当院の矯正相談では、必要と判断する場合を除いて、レントゲン等の撮影は基本的には行っておりませんでした。
矯正相談はあくまで「相談」ですので、まだ治療に入る前の状態。
治療方針をお話しする場になってしまうことより、当院の矯正治療に対する考え方や取り組み、治療の流れ、お悩みに対して過去の症例をお見せし、「矯正ってどんなもの?どういうことするの?」という部分を詳しく知っていただき、十分ご納得をいただいてから検査を、という思いがあったからです。

今回このような流れになったのは、当院で相談された10才の男の子がきっかけ。

左上の前から2番目の歯が内側から生えてきて反対のかみ合わせになっているのを気にされて来院されました。反対のかみ合わせはありますが、歯や歯ぐきにに対するダメージもなく、緊急性はありません。
その他には見た目では異常がなく、この部分の改善のために必要な装置のお話などをしてお帰りいただきました。

その後すぐに、検査のご予約が入り、来院され、レントゲンを撮ってみたところ、

ん?左上の犬歯が・・・

左上の犬歯は、上の図のように、まっすぐ生えずに前歯の方向に向かって生えてきてしまっています。

このままでは、左上の前歯の根っこにぶつかってしまい、根っこが吸収されてしまうなどの危険性が。すぐにCTを撮って確認したところ、やはり犬歯が正しい方向へ生えるように誘導してあげるなど、早急な対応が必要なことがわかりました。

これらの情報は、最初の矯正相談の際に、お口の中を覗いただけではわからないこと。
患者さんは相談のあと、すぐに検査をご希望になったので、今回は事なきを得ましたが、もししばらく経ってしまっていたら、手遅れになってしまっていたかもしれません。

大人の場合と違い、小学校1年生から6年生くらいまでの間は、お口の中で歯の交換が行われる大事な時期。
今後生えてくる永久歯のチェックのため、小学校3年生くらいまでに、一度全体のパノラマを撮影し、状態を把握することは大切なことですが、最近のお子さんはむし歯も少なく、見た目に病的な状況がないのに、全体のレントゲンを撮ることは、普通に歯医者さんに定期検診に通っていてもあまり行われないことです。

パノラマX線写真で、分かることをこの他にもご紹介します。

この子は、右下の5番目乳歯の下に本来あるはずの第二小臼歯という永久歯がありません。

また、時にはこんな状態になってしまっていたこともありました。

まっすぐになっていないといけないはずの両側の犬歯が90度回転して、隣の歯の根を吸収してしまっています。
⇒治療経過&結果はコチラ

生え変わりの時期に一度は確認しておきたい、お口の中の生え変わりの状況。
パノラマエックス線写真撮影をお子さんの矯正相談の際に撮影させていただくことがルーティンとなりました。

よろしくお願いします。