リテーナーができるまで

矯正治療終了おめでとう!』と、装置が外した日、「リテーナー」という装置を付けてお帰りいただきます。

当院で使うリテーナーは、「Q.C.M.リテーナー」という、前歯の部分が透明な素材でできたリテーナー。

すべての患者さんのリテーナーは、技工所に依頼せず、ドクターの手作りなんですよ。

今回は、リテーナーが完成するまでをご紹介したいと思います。

1.外形線の記入

歯型取りをして得られた模型に、線を書き込んでいきます。青がワイヤーが来るところ、赤が床(樹脂)の部分です。

2.ワイヤーの屈曲

歯にかける部分などのワイヤーをプライヤーという器具で曲げていきます(浮かないようにビシッと合わせます)

3.ワイヤーの焼き入れ

ワイヤーベンディングの際のひずみを取り除くために、一度焼いて冷却してから、磨きます。

4.唇側のPET樹脂の部分の圧接

前歯にくる透明な部分は、熱で変形する性質を持っています。ペットボトルなどにも使われる、PET樹脂でできています。ドライヤーの熱で樹脂を軟らかくし、前歯の部分にぴったり沿うようにします。ここまでで、フレームワーク(骨組み)の完成です。

5.レジンの築盛

ピンクの樹脂の部分は「レジン」と呼ばれ、粉と液が重合して固まります。液の上に粉をふりかける作業を繰り返し、レジン床の部分を作っていきます。

6.圧力釜で加圧重合

レジンを十分に重合させるため、釜へ。家庭用の圧力鍋に良く似ています。(というか、家庭用を少し改造してるだけのようにも見えます)
加圧が終わったあとは、最低1日は水中に放置します。焦って外すと、変形の原因になるので、水中で寝かせる時間も大切なのです。

7.削合

ピンクの樹脂の部分を削って形を整えていきます。
技工所に出すのではなく、自分たちで作るので、形や厚みは自由自在。お口の中での違和感が最小限になるように、強度を保った状態で、できるだけ薄く、小さくなるようにします。

8.研磨

だいたい形が出来上がってきたら、磨く作業に入ります。最初は目の細かいバーで。その後は、紙やすりを使って表面のでこぼこを取り除きながら、磨きます。

9.ルージュかけ

研磨が終わっただけでは、マットな状態。ツヤがありません。そこで、ルージュをかけて、表面をツヤッツヤに磨きます。ルージュで磨き終わると、表面は光を反射してツヤツヤになっているのがわかります。

10.唇側線のロウ着

ピンクのレジン(樹脂)の部分と、 前歯の透明な樹脂な部分を合体させます。
奥歯にかける金具の部分を銀ロウでロウ着(はんだ付けみたいなものです)します。

11.ロウ着部分の研磨

酸化膜で黒ずんでいますので、綺麗に研磨します。

12.完成!

おまけ

作業中の様子。得意な分野を分業しています。なんだかんだでものづくりって楽しいですよね!